四国の赤い閃光を探して(高知遠征前編)
やれやれ、またスパンが空いてしまった…。笑
今年も残りわずか。
皆さまどんな1年だったでしょうか?
僕は、前回の投稿でもチラッと書きましたが、今年は体調を崩したり仕事を辞めたりなどなど、年始には思ってもいなかったことが次々と起こり、何があるか分からないなと切に感じた年でした。
"なるようになる精神"で生きているので、そんなライブイベントのひとつひとつも思い返せば楽しみながらやり過ごせたかなと。(退職の手続きとかめんどくさくてもうやりたくないけど)
そして!!
前回の投稿後すぐに旅に行ってきました!!
行き先は、
四国は高知県。(龍馬です)
なぜかって??
釣り人の方なら察しが付くかと。
そう。コイツ。
アカメです。
イトウ、ビワコオオナマズと並んで日本三大怪魚と称される釣り人の憧れ。
せっかく出来た時間。
憧れを憧れのまま終わらせないには絶好のチャンス。
アカメを狙いに、単独で四国に車で乗り込み約半月間の旅をしてきました。
結果から言うと、釣れました!
上の写真のアカメも僕が釣った魚です。
幼い頃から憧れ続けた1匹に出会えたことはもちろんですが、コイツに出会うまでにいろんなことがあった最高の旅だったので、忘れないように(忘れるわけない)しっかりと書いておこうと思い長ったらしく書いてみました。
前後編に分かれる程かなり長いですし、ご興味がある方は覚悟して読んでください。笑
よろしくお願いします!!
1日目
今回の旅は10月30日から11月11日の13日間。
11月14日に親戚の結婚式があったため、それまでには帰ってくると家族に伝え、1人車を走らせた。
行きは仙台から福島、新潟を抜け日本海側をひたすら西に走り関西を抜け岡山まで行き、そこから瀬戸大橋を渡り四国に入るというルート。
ナビの予測では13時間かかるとのことだったが、休憩する時間と所用もあったため、それらの時間を考えて16.7時間は見越して、初日は朝の8時に仙台を出発。
所用というのは富山県に。
僕の尊敬する"小塚拓矢"さん(知らない人はググってね)が営むブランド、モンスターキスの実店舗monster baseが富山県は高岡市にあり、ちょうどその日が店を開けている日(自称日本一空いてない釣具屋)だったので富山に寄ってから行こうと前々から決めていた。
仙台を出て、福島、新潟と見慣れた景色を高速から眺めながらひたすらに車を走らせる。
テキトーに選んだけどめちゃくちゃ美味くて声が出た。笑
新潟県内に入ると右は日本海、左は田んぼと言った景観の変わらない道が延々と続くため、大好きな霜降り明星のラジオを聴いて気を紛らす。
午後2時過ぎには富山に入りmonster baseへ。
店内には他のお客さんはおらず、小塚さんだけ。
しかし、寝ていた。笑
挨拶を済ませ、以前仙台で一度飲みに行かせてもらった時の話や、釣りのあれこれやアカメの話などなど色々な話をして、予定よりかなり滞在した。
そして、「頑張ってこいよ!!!」と小塚さんや他のお客さんたちに温かく送り出してもらった。
なんだか知らない人にそんな風に声をかけてもらうこと自体久しぶりだったし、見知らぬ土地まだ見ぬ旅の行く末、いろいろなことが相まってとても嬉しかった。
(戦利品)
感傷的になるのはまだ早い、富山まで来たとは言えまだまだ旅の途中。何なら半分も来てない。
そこから再び車を飛ばし、北陸、関西、中国地方を抜け、高知に着いたのは深夜2時過ぎだった。
過去1のロングドライブを無事走り切り、高知県内のSAに車を止めて車中泊仕様にした後部座席で爆睡。
遠いとは言え日本は狭いなと思った1日だった。
2日目
昨日の疲れもまだ残ったままだったが、高速を降り市内へ。
(見慣れない景色が見れるのも旅の醍醐味)
今回のアカメ旅は、あえて"旅"感を強めるためにほぼ下調べなしで来た。
良くも悪くもSNSやYouTubeを漁れば簡単に情報が手に入るこの時代。
"こうすれば釣れる"みたいな変な先入観を持って行くことだけはしたくなかったので、あえて情報は極力シャットアウト。
実際に現地で肌で感じて、試行錯誤して1匹にたどり着きたいと思っていた。
この旅の主戦場、
高知県浦戸湾。
大きな湾に流入河川が何本も入っている地形だ。
宮城県の人に伝わるように言うのであれば鳥の海がめちゃくちゃ大きくなったような感じかなと。(適切かは不明)
この広い湾内や河川、全てがポイントとなるようだが、今回は1人での釣行で、なおかつ相手は下手すると1m30cmを超えるような怪物だと言うこともありスロープなどのランディングまでスムーズに行える河川を探してそこをメインに釣りをしようとボヤッとだが思っていた。
当日は旅先での駐車トラブルなどは避けたかったため、川の近くのコインパーキング(24時間で500円という格安)に車を止めて、ひたすらに歩いて雰囲気を探ることに。
1箇所目の川を河口から上流へ歩いていると、既視感のないシルエットの大魚が悠々と泳いでいるのが見えた。
ん?まさか?
良く目を凝らすとアカメだった。
早過ぎる登場に思わず笑ってしまった。
1mは軽く超えていたと思う。
アカメって本当にいるんだ!!!という嬉しさが湧いてすぐ、あんなの本当に獲れるのか…?という恐怖を感じた…。笑
魚を見て怖いと感じたのは初めてだった。
とりあえず、この川にアカメはいるということが分かった。
一度車に戻り釣具を持ってまた同じ川に入り直した。(この日は12.3キロ歩いていた)
"大きなリュックと釣り竿を持った大きな男がフラフラしている"という地元民からの明らかなヨソモノに対する視線を感じながら川沿いを歩いた。
歩いていると早速ボラの群れを見つけた。
↑この針をひたすら群れに投げてボラの体に引っ掛けるいわゆるガラ掛け、ギャング釣りとも言われる釣り(?)だ。
地元でやっているおじさんを見かけたことはあったが、僕にとってはこの旅が初挑戦だった。
群れに針を投げれば簡単に取れるだろうと安易に考えていたが、これがめちゃくちゃ難しい。
この旅で1番苦しんだことかもしれない。笑
ボラもそんなにバカではない。
群れの中に投げて引っ掛ける、単純だが非常に難しい。
とにかく闇雲に投げまくって、1時間ほど。
やっと獲れた!!!
デカくね??笑
50cm程あったが、後々アカメ経験者の方たちに話を聞いたが全くデカくない、むしろ小さいボラだとシーバスが邪魔をするからこのくらいが良いとのことだそうだ。
やっと獲れたボラだ。
トレブルフックを頭にかけてアカメを見かけたエリアに"頼む!"と念じてボラを流す。
にしてもデカい、ほんとに食うのか?
正直疑心暗鬼だった。
ルアーでやった方がいいかな?ポイントは合ってる?などいろいろな邪念が浮かんだが、仕事を辞めて捻出したモラトリアムだ、時間はある。笑
焦らずに今はこの釣りをとりあえずやり通してみようと自分に言い聞かせた。
小塚さんにも言われたが、あれもこれもと迷い始めたらダメだ、これをやり通すという信念が大事だ。
アカメからのコンタクトは思いのほか早かった。
夕まずめにかけて干潮に向かっていき、川がどんどん浅くなり水の中が見えるようになってきた。
水底を見ていると悠々と泳ぐ2匹の大魚を発見、
アカメだ。
朝見たヤツよりは小さかったが、それでもデカい。
早まる心臓の鼓動を落ち着けて、進行方向に先回りしてボラを流した。
すると、弱りかけたボラが急に暴れ出した。
アカメが近いということだろうか、さらに鼓動が早まる。このヒリヒリ感がたまらない…。
すると…、
ゴンッ!!!
竿先に重みが伝わった。バイトだ!
その時アカメは目視出来なかったが、バイトは続かなかったためロッドワークで少しボラを浮かせた。
その瞬間、下から思いっ切りさっき見た2匹のデカい方が食い上げてきた。
ボラが大きかったため、口に全部は入り切らない状態で咥えたまま少し沖に走る。
フッキングするタイミングを伺いながらその様子を見ると、飲み込もうとアカメが頭を振った。
今だ!!!とフルハッキングをしようとしたが、頭を振った瞬間にボラが身切れしてしまった…。
またとないチャンスだったかも知れない。
1発で仕留めきれない勝負弱さを恨んだ…。
しかし、時間はある。
"初日にここまで魚に近付けたとポジティブに捉えよう"と言い聞かせた。
そして、"この川でやり切ること"と"エサ釣りに徹すること"を決めた。
ボラの確保が非常にネックだが、何とかなるだろうと浅はかに考えていた。笑
アカメは夜行性だということもあり夜もやってみようかと思ったが、さすがに疲労がピーク。
この日はスーパー銭湯に入り車で爆睡した。
3日目
昨日バイトがあった際にエサのボラはほぼ死にかけだったと言うことから死にエサでも何とかなる?と思い早朝のスーパーでアジを2匹買った。
そして昨日のポイントに行き、ボラの群れを見かけるまではこのアジを投入した。
朝方の潮が動くタイミングで、小さかったがアカメがアジを見に来た。
やはりこの川結構アカメがいるぞ??
しかし、見に来ただけですぐに見切られてしまった。
やはり生きエサが強いのかとボラの群れを探した。
すると、川沿いを犬の散歩をしたおじさんが歩いてきたので、「こんにちは!」と挨拶。
ただでさえヨソモノ感が強いし、ご時世もご時世なため嫌な感じは与えたくないので地元の方たちには大きな声で挨拶をした。
すると、おじさんから、
「アカメですか?」と土佐訛りで一言。
お、この人釣りする人なのかと思い、「そうです。」と。
話しているとすごく詳しい。
仙台から1人で来たことや昨日バイトがあったことなどいろいろ話をした。
「よく釣りはされるんですか?」と聞くと、
「するも何も近所の釣具屋の店員やで。」と。
え??笑笑笑笑笑
展開が素晴らし過ぎる…。笑
その他にもいろいろ話をして、
「もし疲れたら休憩がてら店に来なよ!」とまで言ってもらった。
僕は人生の中で、こういういい風が吹いている時は素直に身を任せるように心がけている。
ここでいう風は、もちろんその釣具屋に顔を出すことだ。
その日は朝方のワンチェイスだけで何もなく、ボラも獲れなかった。
欲を言えばボラが溜まる場所を見つけて獲って車でこの川に持ってくると言うのが理想だったが、あいにくボラを生かすためのスカリ(水に沈めるカゴ網)だけで、輸送用の道具のクーラーボックスなどを持ってきていなかったためそれも買いたかったためおじさんの釣具屋に向かった。
店内で上記のようなここまでの反省点を話し、いろいろ買い足そうと言う旨を伝えると。
「そんなのオレの貸すで!旅先でそんなん買う必要ないやろ!」と。
「なんなら、今晩仕事終わったら一緒にボラ獲にいこか??」とまで。
何だ、この人…神様??笑
めちゃくちゃ優しい、優しいという次元ではない。笑
(以下Tさんと呼ぶ)
そして、ご好意に甘えてクーラーボックスなど輸送用の道具を借りて一緒にボラを獲りに深夜の高知市内をランガンした。
釣りが好き!という共通項があれば、初対面で生まれた場所や年齢も違うと言えど打ち解けるのは造作もなかった。
車内では東北、四国各々のフィールドでどんな釣りをしているかなど釣りの話で盛り上がった。
今思えば不思議だったがとても幸せな時間だった。
そして、ボラも面白いように獲れた。
小1時間で3本程。
これだけあれば2日、上手くやれば3日は待つ。
翌朝釣りをするポイントに行き、獲ったボラをスカリに入れた。
「本当にありがとうございます!!必ず釣ってこの恩に報います!!」と深々とお礼。
すると、「アカメのタックル見してみ?」と言われたので見せると、「うーん…。」と唸る。
「時間あるならウチに来い!」と。
断る理由もないので、お宅にお邪魔させてもらった。
僕はアカメのタックルをPEの8号にリーダーはナイロンの100lbを結んでいた。
不足はないだろうと思っていたが、「130lbで切られたヤツを見たことがある。」と言われ、続け様に「ワイヤーでリーダーを作っちゃるからコレを使い?」とまた神の一声。笑
「せっかく遠くから来てるんや、出来る限りのことはさせてくれ。」と僕のどこにそんなに賭けてくれるのかと申し訳なくなりながらもTさんのご好意にあんぶに抱っこ。
最強のリーダーを作ってもらった。
もう深夜2時を過ぎていた。
「泊まっていってもいいぞ!」と言われたが、そこまで甘えるのは申し訳なく、感謝の旨を伝えその日は車で寝た。
素敵な出会いと、人の優しさに触れて心がとても温かくなった。
自分がもし地元の釣り場で、「○○を釣りたい!」と意気込む人を見つけたらここまで優しく出来るか?見ず知らずの人のためにここまでやれるか?と自分を回顧したりも。
なんだか深夜の車内で少しウルッと来てしまった。
自分のエゴだけではなく、しっかり釣ることが恩返しにもなると思い"必ず釣ってやる"という気持ちがより強くなった1日であった。
4日目
この日はボラの集魚力を思い知ることに。
昨晩協力してもらって獲ったボラを朝から投入してアタリを待った。
反応があった場所で、抜かりないタックルセッティングで臨めている。
高知に来て3日目にしてすでに大詰めかのような感覚があった。
まだ時間に余裕はあったが、いつか釣れると思っていてはいつまで経っても釣れない。毎日今日で仕留めると思いながら挑んだが、この日が1番気合が入っていた。
反応があったのは夕方だった。
それまで元気に泳ぎまわっていたボラが急に岸際に寄り始めた。反応か?
潮が満ちていたタイミングだったためアカメは見えなかったが、必ず近くにいると信じてアタリを待った。
すると、
竿先にガツンと伝わるアタリが。
グン、グンっ!と引っ張っていく。
ラインをフリーにしてフッキングを綺麗に入れられる場所まで走らせる。
落ち着け、落ち着けと言い聞かせる。(それでも落ち着けない)
そして、
ここだ!というところで力の限りフッキング!
フィーーーッシュ!!!!!だ。
(そんなこと言う余裕はない)
乗った。
とてつもない重み。
猛スピードで沖に走っていくようなファイトではなく、トルクのある引きでズリズリ引き込まれる。
こちらもタックルに不足はない。
目一杯の綱引きだ。
どこかで追い合わせを入れたいなと思いながらも、そんな余裕は全く与えてくれない。
ポイントは足場が高く、所々に階段がある川だったためファイトをしながら階段付近に寄せていくのが僕のゲームプランだった。
しかし、階段の方に寄せていくとアカメが方向転換。
ギアを上げたように走り出し、僕は前のめりになり両膝をコンクリートの壁に強打。その瞬間タックルがフワッと軽くなった。
やっちまった…。
大魚とがっぷり四つでファイトする時に、タックルバランスで1番弱いとこが露呈する、それは"自分の身体"も含めて。と以前聞いたことがあったがまさにそれだった。足元がフラついた。
魚だと思って少し舐めていたかもしれない。
バカだ…。
ホラの頭部には歯形がくっきり。
ファイト後に気付いたが、ボラに引っかかる孫針だけでなくメインフックもボラの口に絡んでいた。
おそらくそれが原因でしっかりと針掛かりしなかったのだろう。
全部負けてる…。
一番のチャンスを取りこぼした、
このミスにはかなり凹んだ…。
ご当地グルメ如月(きさらぎ)のチキン南蛮弁当を涙を飲みながら食べるのであった…。
(高知の南蛮はタルタルではなくオーロラソース。)
その日の夜もTさんとその友人に付き合ってもらいボラを獲りに。
しかし、群れを見つけられずその晩は1匹も獲れなかった。
夜に行ったポイントで、僕と同じディアモンスターの竿を使っている若者を発見。
話しかけると東京から来ているとのことだった。
その日彼とは世間話をする程度だったが、後ほどまた登場する。
5日目
この日は暑かった。日中は半袖で釣りをした。
祝日だったこともあり、仙台の友人たちから激励の電話をいくつかもらった。
昨日のファイトやこれまでの過程を話したりもしたが、釣ってもいないのにファイトは出来たみたいな満足感にあぐらをかいて自慢するのもカッコ良くない、必ず釣ると強く言い聞かせて残りのボラを流した。
(ウキにしていたペットボトル下にアカメの影)
ボラを回収しようとした瞬間足元にとてつもなくデカい1匹がヌンッと浮いてきた。
ずーっとボラを見ている。
動画を回していたが、8分間1歩も動けない時間が続いていた。
この日付けていたボラがさすがにこれはデカ過ぎないか?というサイズだったため、アカメも食い渋ってタイミングを伺っているのだろう。
恐らくアカメは捕食があまり上手くない。
自信もないのかも知れない。
ボラもずっとアカメに背後を取られ弱ってきた。
僕もこんなに長いこと焦らされるのは我慢できなくなってきて、ボラがプカーっと浮いたタイミングでロッドを煽ってジャークさせた。
その瞬間!!
「バァァァァゴォォォーンッッッ!!」
アカメのスイッチが入り一気にボラを吸い込んだ。
ヨシ!と心の中でガッツポーズ。
しかし、何か違和感を感じたのかエサがデカ過ぎたのか、ボラを吐き出してしまった…。
とてつもない捕食音だった…。
後々地元の方に、夜に川から大きな音がして子どもが落ちたかと思って見に行ったら、壁際にアカメが捕食の際に水を吸い込んで出来た水柱の跡が付いていたという逸話を聞いたが、この音を聞いたらそれも納得だった。
この日のバイトはそれだけだったが気温が高くアカメの活性も高かったのかチェイスも何度かあったがチャンスは一度きりだった。
ずっと何も釣れないのは精神衛生上良くないので、Tさんの釣具屋でイソメ(こっちでは青虫と言うらしい)と虫ヘッドを買ってライトゲームをして遊んだ。
キビレは東北にはいない。あまり経験のない引きがとても楽しかった。
大きいのは釣れなかったが、小さくても強い引きとゲーム性(トップでも釣れるらしい)の高さがチニングの人気の理由なんだろうとすぐに分かった。
(背びれカッコ良すぎない?)
ライトゲームで心を癒されこの日は終了。
如月でまたチキン南蛮を食べて爆睡した。
6日目
この日は前日釣ったキビレなどボラ以外のエサを試した。
しかし、全く反応がない。
ウロウロしてるアカメを見かけたがバイトには至らず。
やはりボラなのか…、少し疑心暗鬼になってきた。
迷いは良くない。ボラがいいと思ったらとことん信じよう。
そう思い日中から、ボラを探して市内を回ったが群れは見つけられなかった…。
苦しい時間だった。
その日の夜、再び東京から来てる彼がいたポイントに行ってみた。
長い堤防の先端で1人椅子に座りアタリを待っている。悲壮感すら漂っていた。笑
話をしてみると同い年だった。
彼は学生時代からアマゾンに行ったり海外をはじめ遠征をメインで色んな魚を釣っている釣り人とのこと。
Tさんともそうだったが、釣りの話で盛り上がると打ち解けるのは簡単だ。
彼は学生時代からアカメに恋焦がれ今回が6回目(だったかな)の挑戦でまだ釣れていないとのこと。悲壮感はこれが理由か。
それだけ厳しいんだなということと、それなのにバラしてしまった自分の勝負弱さに少し焦りを感じた。
いろいろ世間話をしながら、またライトゲームをして遊んだ。
すげえ、なんだこの豊富な魚種…。笑
毎投違う魚が釣れる。笑
見知らぬ土地で見知らぬ魚。
釣れる度に、「これなんだろう!?」とアラサー2人でキャッキャしていたがとても幸せな時間だった。
彼は夜通し頑張るとのことだったが、僕は昼間メインで釣りをしていたので深夜に解散。
お互い高知にはまだ滞在予定だったので連絡先を念のため交換して健闘を祈りあった。
(以下Nくんと呼ぶ)
この日はさすがに疲労も溜まってきたので、市内のネットカフェに泊まって爆睡した。
7日目
ネットカフェで爆睡し寝坊気味でスタート。
この日はエサ探しから始まったがボラは獲れずキビレやシマイサキを確保した。
(シマイサキ、かっこいいよね?)
シマイサキに関しては、ボラより良いという人も多いらしく期待が持てた。
いつものポイントに戻りエサを流す。
何もない…。笑
今遠征初のノーチェイスノーバイトだった。
ボラも獲れなくなってきてるし、焦りはかなりあった。
半月ほど滞在出来る予定だったが、その日程も間も無く折り返しを迎える、流れが悪いな…。
こういう時は徳を積もう。笑
小中学校の通学路近くのポイントでやっていたため、よくちびっ子に話しかけられた。
特にこの2人は毎日下校時に応援に来てくれたため、この日は気晴らしに釣りを教えた。
釣らせることは出来なかったが、車に積んであったこれから使おうと思っていたメガバスのルアーを「沢山あるから大丈夫!」と意地を張ってプレゼントした。笑
「またねー!!!」とまたがあるかも分からないのに走って帰っていく。
健気だなあと背中を見つめた。
焦りを抑えるためにこの日も如月の弁当を食べていると、Tさんから連絡が。(食べ過ぎ)
「気晴らしにチヌでも釣りに行くか?」と。
ボラはなかなか獲れなくなってしまったけど、チヌなら釣れると思うしエサにもなるから夜釣りに行こうぜと誘ってもらった。
そうじゃなくてもほぼ毎日空いた時間にコーヒーの差し入れをくれたりボラの確保のお手伝いをしてもらったりしてるのにどこまで良い人なのだと。
そして、その日も夜から市内をランガン。
「ここでやってみよか!」と湾内の静かな場所にやってきた。
相変わらず虫ヘッドにイソメを付けてミドストのような感じで誘う。
すると、ヌンッと重くなる。
根がかり??いや違う。
巻けるぞ?ゴミでも拾ったか?と思った瞬間。
ギューン!!と走り出す。
なんだなんだなんだ??プチパニックになる。
かなりの重量感にトルクのある引き。
こんなデカいのが掛かるとは思ってもおらず、テキトーなバスロッドにPE1.5号にリーダー10lbの丸腰タックル、大丈夫か?笑
今までそのロッドで、シーバスやアイナメ、クロソイなどかなり大物を釣ってきたが竿の曲がり方が違う。バキバキと変な音も鳴ってる。
これはもしかしてアカメ…?笑
嬉しいけどこんな釣れ方アリ??と思いながらも、魚を見るまでは焦らずファイトしようとドラグを上手く調整しながら走らせて巻くときは巻いて、出来る限り魚を弱らせた。
手前には牡蠣殻、両サイドには船を泊めるためのポールも立っておりやや強引なファイトも必要だった。我ながらめちゃくちゃ上手くやったと思う。笑
大きい声でTさんを呼び、念のため持ってきていたタモを準備してもらった。
チヌにしては重過ぎるしシーバスにしては跳ねないし引きが違う、多分アカメだろうとファイト中徐々に確信に変わっていった。
そして、近くに寄ってきたときにTさんがヘッドライトで魚体を照らすと、赤い目が海中に映った。
「アカメ!!!!!」
2人で声を揃えて言った。
「絶対獲る!!!!!」
そう叫んで自分を鼓舞して魚を寄せた。
そして、Tさんにタモを入れてもらい見事キャッチ!!!
震えが止まらなかった。
体に力も入らなくなってしまった。
放心状態とはまさにこのこと。
その畏怖のある顔つき体つき、そしてこの目。
生きててよかった。心からそう思った。
人生で1番嬉しかった瞬間かも知れない。
ここまで協力してくれたTさんと硬い握手を。
釣ることが恩返しになると思っていたが、目の前で釣ることが出来て尚更嬉しかったし、自分のことのように喜んでくれた。
記念撮影を手早く済ませ浅場に移動し蘇生。
強い魚だ、すぐに元気になった。
頭を撫で回し、「お前のためにここまで来たんだぜ…、結婚してくれ。」とよく分からないお願いをしてリリース。
75cmとアカメにしては中型サイズだったが、僕には誇らしく、泳いでいく姿もとても大きく見えた。
しばらく放心状態は続いた。笑
しかし、Tさんから、
「まだ高知にはおるんやろ?ならメーターオーバー釣っていけよ?」とはっぱをかけられた。笑
アカメを釣った後も、チヌ釣りは続いたが竿から魂が抜けたかのように何も釣れなかった。
釣り方が釣り方だったため、
まだやるべきことはある。
そう思い、まだ数日高知に残ることを決めた。
というか楽しすぎて帰りたくない。笑
とりあえずその日は解散となり、ネットカフェへと向かった。
旅の過程はもちろん、仕事を辞めたことや体調を崩したことなど色んなことが駆け巡り帰りの車内では号泣してしまった。
インスタのストーリーに釣ったことを報告したため、色んな方から深夜にも関わらずコメントや電話が来たが泣き過ぎて出れなかった…。笑
その日は少し奮発して鍵付きの個室に泊まった。
念願の1匹は手にしたがこの旅はまだ続く。
前半はこの辺で。(一万字超えました)
それでは〜